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2016年10月15日

e-statのshpを全国分取り込んで国交省の行政区域shpと比べてみる


久々にGISネタです。

国交省の国土数値情報ダウンロードサービスでダウンロードできる行政区域のShapefileは以前の記事でも取り扱いました。
国土数値情報 行政区域データは全国の行政界を記録したものですが、これは市区町村界レベルであって、大字(〜丁目)レベルの境界ではありません。(行政界なので当然なのですが)
そこで、現状無料で手に入る大字レベルのshpとして、総務省統計局のデータを利用してみることに。

e-Stat 政府統計の総合窓口

地図で見る統計(統計GIS) → データダウンロード → 国勢調査 → 平成22年国勢調査(小地域) 2010/10/01 → 男女別人口総数及び世帯総数 → 市区町村を選択 → 世界測地系平面直角座標系・Shape形式

これをダウンロードします。
ダウンロードするのですが... これを全国分となると、市区町村を選択してShapeを選んで...という作業をおよそ1900回繰り返さなければなりません。
一括でダウンロード出来ない理由は負荷軽減のためで、全国分欲しい人は地図屋からデータ買ってねという記載があるので、ちゃんと正攻法で買いましょう。
そもそも、このShapefileは数値情報を上に重ねたりグラフ化したりするためのもので、境界域を得る為に使用するものではありません。

...ただ、今回はスクリプト書いて全部ダウンロードさせてもらいました。(ごめんなさい)
一括ダウンロードのためのスクリプトは載せません。

結論としては、やはり地図屋から買った方がいいです。
しかし、同じことを企む人たちのために、何故そういう結論に至ったのか書き残そうと思います。

まずは、視覚的に比較するためにShapefileを取り込みます。
e-Statから手に入れたデータはzip化されてますので、まずは解凍。

unzip \*.zip

出てきたShapefileをQGISで結合します

1. ベクタ → データマネジメントツール → 複数のシェープファイルを1つに結合する
2. フォルダのレイヤによって選択する にチェック
3. 入力ファイルで .shpファイルを全て選択して、エンコードにSift_JISを選択 → Open
4. 出力シェープファイルで保存先を選んでエンコードにUTF-8を選択 → Save
5. OK で処理開始

この段階で結合されたshpができあがるのですが、CRS(測地系)がEPSG2454(JGD2000)になっていると思うので、今後扱いやすいようにEPSG4326(WGS84)で保存し直します。

1. 結合処理が終了して、レイヤに追加されたデータを右クリックして名前を付けて保存
2. パスに保存先を選び、CRSにEPSG4326(WGS84)を選択してOK

これで準備完了。


千代田区の大手町1丁目を選択してみました。
なんだか良さそうな雰囲気。

では、すこしズームアウトして湾岸部を見ましょう。


なんだか海岸線とは思えない鋭利なラインが目立ちます。
この上に国交省 行政区域データを重ねてみます。


どうやら、海域の一部も含まれているので、陸地の境界域として利用するにはイマイチでしょう。
(こういう海域が取り込まれている部分が全国の海岸部分に沢山あるので、1つ1つ手で除去とかアホみたいに時間掛かることはしません)

それと、もう1点。
これは統計局のデータではなく国交省のデータの問題なのですが...


中央の濃い赤は統計局shpの皇居、周囲の赤は国交省shpの千代田区です。
周囲の境界をよーく見てみると...


濃い赤の選択部分は統計局shpの八重洲1丁目、周囲の赤は国交省shpの千代田区です。
八重洲1丁目が千代田区と中央区に跨がっています。
こういうポイントが全国各地に山ほどあります。

どちらのデータに問題があるのか、原典として使われている地図を調べてみないと分からないですが、おそらく国交省行政区域データの方が粗いのではないかと思われます。
ベクタなので、点の数が増えれば複雑な形状にもフィットする境界を描けて、逆に点の数が少ないと簡素な境界しか描けません。
もちろん、点を増やせばデータサイズも増えます。

ということで、結論ですが...

1. 大字レベルのShapefileが必要なら地図屋さんから買いましょう。
2. 厳密な市区町村界が欲しいなら、購入した大字レベルのShapefileから市区町村レベルで地物の結合をして生成しましょう。

以上です。

普通、業務でこういったGISデータを利用されている方にとっては当然なのでしょうが、個人であれこれやるとぶつかりそうな問題だなぁと思ったので書いておきます。

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